教員紹介2021.09.13

【教員紹介】栄養学部栄養学科 教授 髙橋 延行 先生を紹介します

栄養学部栄養学科 食品学分野担当

教授 髙橋延行

 

たんぱく質は、DNAに蓄えられた遺伝情報にもとづいて何百というアミノ酸が鎖状につながり、独自の立体構造をもつことで特有の機能を発揮しています。なんらかの理由で、アミノ酸が置き換わったたんぱく質が生じると変異型(体)と呼ばれ、それまでになかった機能を獲得することがあり、ウイルスの例では、毒性や感染力、免疫抵抗性などが変化しています。何百というアミノ酸のうち1個や2個のアミノ酸が別のアミノ酸に置き換わることで、たんぱく質の働きが大きく変わることもありますが、現在のところ、人間の思惑通りに新たなたんぱく質を作り出すことは困難です。

 

卵白に含まれるオボアルブミンというたんぱく質は、立体構造が壊れるとゆで卵にみられるように凝集して元には戻らないと考えられていましたが、適切な条件を選ぶと壊れた構造をもとに戻すことができることがわかりました。また、このたんぱく質は、ある場所のアミノ酸が1個、別のアミノ酸に置き換わることで、酵素反応を受けた後の耐熱性が大きく変化することや、アルカリ性の条件下で、いくつかのアミノ酸に化学構造の変化が起きて、たんぱく質分子全体の壊れる温度が8℃ほど上昇する事もわかってきました。この変化は、卵白を使ったスポンジケーキの膨らみ方に大きく影響することが指摘されています。このようにたんぱく質などの栄養素について、分子レベルで把握することは、食品の調理や加工特性の理解に役立つものであると考えられます。

 

人工知能の発達や、エネルギー・環境政策の転換により、5年後、10年後の社会は大きく変化している可能性があります。また、医療・科学の発達により、現在、我々が悩まされている疾病のいくつかは克服され、健康寿命が更に延長されるかもしれませんが、人間が他の生物に由来する食品を糧として生きていくことは変わりようがありません。食品学などの学びの場を通じて、食と栄養に関する基礎を固め、社会の変化にも対応できる実践的な能力を身に付けてもらえる環境を提供したいと思います。

発信部署:栄養学部